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「ビジョンは作文」内保連の浦部氏が認識

内科系学会社会保険連合(内保連)の浦部晶夫監事(NTT東日本関東病院予防医学センター所長)は9月27日、内保連と外科系学会社会保険委員会連合(外保連)、看護系学会等社会保険連合(看保連)が開いた合同シンポジウムで講演し、私見と前置きした上で、「今の医療政策は全く長期的展望に立っていない」と指摘。厚生労働省が6月に提示した「安心と希望の医療確保ビジョン」を「ビジョンなどと称して作文をすることは何の役にも立たない」と批判した。

 シンポジウムで浦部氏は、「かつて各県に1か所ずつ医科大学をつくり、地方の医療を任せる形を目指したが、研修制度を変えてそれを壊してしまった。それに対する改善策は何も示されていない」と述べ、現在の医師不足は2004年に始まった新医師臨床研修制度が引き金になったとの見方を示唆した。
 その上で、「以前よりは今の方が医者の頭数は多い。それなのに以前は、医師不足は叫ばれなかった」と述べ、若手の意識が変わり、外科や内科などを目指さなくなったことが医師不足問題の背景にあると指摘。こうした点を議論せずに医学部の定員だけを増やしても、問題の解決にはつながらないとの認識を示した。
 2年ごとに実施される診療報酬改定についても、「7対1看護配置を導入して看護師の流れが変わり、対応に追われた。これでは真の医療政策にはつながらない」と批判した。
 この日のシンポジウムの基調講演では、「安心と希望の医療確保ビジョン」の取りまとめに携わった厚労省の担当者がビジョンの中身を解説。今後の医療の方向性について、「治すだけでなく、『治して支える医療』が目指すべき道ではないか」と述べた上で、それを実現するには医療従事者や行政だけでなく、患者や家族にも協働作業に参画する視点が求められるなどと指摘した。
 これに対して浦部氏は、「個人的な意見」と断った上で講演し、医師が多忙過ぎる現状では医療の質の向上は望めないとの見方を示した。その上で、「ビジョンなどと称して作文をすることは何の役にも立たない」と述べ、国民に貢献できる医療の実現のため、長期的な展望に立った政策を求めた。

■外科医療の崩壊に危機感―日本外科学会の里見理事長
 一方、日本外科学会の里見進理事長(東北大病院院長)は、外科医の志望者数の減少が急速に進んでいる現状を指摘。「外科の崩壊は、医療全体の崩壊につながる」と危機感を示し、抜本的な改善策を求めた。里見氏は志望者数減少の要因として、▽長時間勤務▽高まる訴訟リスク▽低賃金―などを列挙。このうち長時間勤務の解消には、他職種との連携強化が必要だと訴えた。
 医学部の定員を増やす国の方向性については、「確かにいいことだ」と評価する一方で、「予算の裏付けが全くない」と問題点も指摘した。
 
 その上で、「かつて医療が崩壊した英国では、今は日本よりはるかに医療費を掛けているが、それでもいったん壊れた医療体制はなかなか回復しない。日本は今、(医療体制を)壊しにかかっている。今が分岐点だ」と述べた。
 このほか、独立行政法人化に伴い大学病院に経営改善努力が求められるようになったことで、研究・教育機能が低下している窮状も訴えた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080929-00000003-cbn-soci
[ 2008/09/29 15:12 ] 医学部ニュース